何より良かったのは、学びを諦めなくていいと
思えたこと
A・Fさん
(専業主婦・ドイツ在住)
Profile
今回登場いただくのは、ドイツのヘッセン州に夫と子どもの3人で暮らしているA・Fさん。専業主婦として、家事と子育てをこなしながら、放送大学の海外モニターとして2科目受講中です。ドイツに移住することになったいきさつから放送大学で学ぶことにしたきっかけ、実際に受講した感想など、お話を伺いました。
年齢を問わず
学び続ける文化に
惹かれ、ドイツへ
これまでの経歴を教えていただけますか?
大学卒業後、運送会社に就職し、トラックの運転手として約5年働きましたが、環境を変えて勉強がしたくなり、日本から近い韓国へ留学。1年間、韓国語を学びました。当時、知り合った人から「ドイツが良いよ」と教えてもらい、今度はふらっとドイツへ渡りました。それからかれこれ10年以上の年月が流れ、今にいたるという感じです。
その方は、どんな点を指して「ドイツが良いよ」とおっしゃったのでしょうか?
学びの環境です。比較的金銭的負担が少なく学べるし、歳を重ねてから学び直しをする人も多いと話してくれました。それを聞いて俄然、ドイツに興味が湧きました。実際、ドイツで「もう一度大学へ行きたい」と話すと、「何がしたいの?」と自然に話が広がっていきます。
大人が学ぶことに寛容な国なんですね。ドイツに行かれて実際に何か学びを始められたのでしょうか?
ドイツ語が全く分からないのでまず語学学校へ1年通いました。その後、ドイツの大学で本格的に学んでみたくなり、入学試験に申し込みました。ところが、試験前日に出産となってしまい、受験を断念せざるを得なくなって。本当は試験だけ受けておいて合格したら、出産後に入学するつもりだったんです。と言っても、全然計画性はなく、とにかく「学びたい」の一心で試験に申し込んだだけ。何を学ぶかも入学してから決めるつもりでした。
その後、大学へは?
子どもが生まれたタイミングで入籍し、専業主婦として子育てに専念することに。ところが、この子育てになかなか慣れることができず、育児ノイローゼになり、立ち直るのに8年ぐらいかかってしまって……。とても大学へ行けるような状況ではありませんでした。
大変な時期を過ごされていたのですね…。そこから、どのようにして回復していかれたのでしょうか。
絵本などの簡単なひらがなを毎日音読(読み聞かせ)し続けながら、時が経ち自然に、という感じでしょうか。子どもも少し大きくなって自分で身の回りのことができるようになったあたりから次第に頭の中の霧が晴れていった気がします。
ちょうどその頃、放送大学の海外モニター募集を知りました。その瞬間、「これだ」と思ってすぐに応募しました。
大変だけど
楽しい。
学びが自分を
成長させてくれる
ありがとうございます! 「これだ!」と思われた点はどんなところでしょうか。
立ち直り始めた頃からネットで学びに関する情報の検索を始めていました。子どもがいるのであくまで自宅で学べるもの限定です。なかなか良さそうなものが見つからなかったのですが、そんな中でようやく見つけたのが放送大学のモニター募集。自宅に居ながらにして大学の講義が受けられる!こんな夢みたいな話はないと思いました。本当にうれしかったです。
どの科目を受講されましたか?
ちょうど今、「循環器の健康科学」と「社会統計学入門」を受講している最中です。「循環器の健康科学」は私の家系の女性の多くが重い心臓病を患っていることもあり、この際、きちんと知識を得ておこうと思ってのこと。「社会統計学入門」は、テレビの視聴率など社会調査によって得られたデータの分析に関心があったので選びました。
実際に学んでみていかがですか?
大変です、ホントに分からないことだらけで(笑)。でも、循環器、社会統計学いずれも初めて触れる分野だけに、新たな世界が自分の中で広がる感覚があって楽しい。分からないことが出てきたらそれを知るために他の文献を読むじゃないですか。それによって新しい知識が増えるのもまた楽しいです。
心から学びを楽しんでいる様子が伝わってきます。
そうですね。テキストを読んだり、動画で講義を聴いたりしているとどんどん自分の頭がクリアになっていくような感じがあって。それによって社会に対する解像度も上がって、社会に参加しているとまではいかないですが、参加する準備をしているような感覚もあるので、楽しんで学べています。
何より良かったのは「学ぶことを諦めなくていいんだ」と思えたこと。 また、子どもにも自分が勉強する姿を見せることで、「大人になっても勉強は必要だからね」と伝えることができたことも良かったなと。
「学ぶことを諦めなくていいと思えた」、その言葉を聞いて、このOUJ GLOBALができてよかったなと心から思いました。しかしその学び続けるパワーは、いったいどこから湧いてくるのでしょうか?
単なる好奇心です。真面目でも勤勉でもないです。ただ、高校卒業後に入った大学が諸事情でほとんど通えずに卒業してしまっているので、その後悔があるのかもしれません。
母語で学べるから
100%
理解できるという安心感
海外に居ながら日本語で学べる良さは何でしょうか?
母語で学ぶことでほぼ100%理解できるという安心感です。内容の理解度もおのずと深まりますよね。英語やドイツ語だと言っていることは分かってもその内容の深い意味まで理解できないということがまだまだ多いので余計にそう思うのかもしれません。
それと母語で勉強して思考が深まることが、私自身が喋るドイツ語や英語に少なからず影響しているように感じています。
おもしろいですね!具体的にはどのような感じで影響しているのでしょうか?
説明が難しいのですが、私がこちらで英語やドイツ語で会話する時、語彙力が圧倒的に足らないこともあり、答えることに精一杯で、どこか稚拙で子どもっぽい表現になっていました。それが母語で専門分野を深く学んだことによって、物事を理路整然と考えられるようになったのか、自分に自信が持てるようになったからなのか分からないのですが、以前より成長して、ちゃんと自分で考えてから喋ることができるようになったと思います。
なるほど。それは大きな副産物でしたね。今後の目標として考えていることを聞かせてください。
放送大学のモニターとして見知らぬ分野を受講する中でどんどん新しい世界が広がっていくことが面白く、もっといろいろ学びたくなりました。できれば、大学でもう一度学び直して「これが私の専門です」と胸を張っていえる分野を一つ作りたい。それによってもっと人生も楽しくなるような気がしています。
最後に、海外で暮らしている方々にメッセージをお願いいたします。
私もそうですが、海外で仕事も持たずに暮らしているとすごく閉塞感を感じがちです。外国人の友だちがいたとしても、言語や文化の違いから孤独をどうしても感じてしまうんです。でも、放送大学で学んでいると本当に心地良いというか、たとえ孤独を感じたとしても、孤独の質が前とは違うと思うくらい、自身が変わります。放送大学の学びは海外在住者の孤独を解消してくれるし、助けてくれる。そう信じていいと思います。
育児ノイローゼを経験したときの思いなど、ご自身の気持ちを率直に語ってくださったFさん。だからこそ、「放送大学の学びは海外在住者の孤独を解消する、助けてくれる」という言葉には説得力があり、胸に響きました。これからもAさんの毎日が、学びの楽しさと発見に満ちたものになっていくことを願っています。